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こちら 空冷エンジン 整備工場  その6

最終更新日2011/03/28
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いつもプレステージのポルシェ大好きブログをご覧いただきまして、

誠にありがとうございます。

まだ、いつも通りと言う訳にはいきませんが、お車の点検・整備は

行わなくてはいけません。

そんなわけで、今回も964の整備を行っております。

いつも通りの整備風景と思い、写真を一枚撮ってみました。

しかしいつも通りでは無いような・・・・・・。

疲れているのか、見間違いでしょうか・・・・・・。

こんなにエンジンルームって、スカスカだっけ?

何かが足りないような気が・・・・・・・。

あぁ!!!そうだ、真ん中が無い!!!!!

空冷エンジンなのに、クーリングファンが無い!!!!

何で無くなっているのだろうと・・・・・、

周りを探してみますと・・・・・・・。

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ありました・・・・・・・。

片隅にポツン・・・・と一つ、転がっておりました。

何でこんなところに、転がっているのでしょうか?

作業途中に、落っこちてしまったのでしょうか?

いえ、そんなはずはありません!!!!

これは、意図的に外された物なのです。

では何故、クーリングファンを取り外したかと言いますと・・・・・。
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裏側を見れば、解りやすいと思います。

表から見ると、エンジン冷やす為のクーリングファンだけと

思われるかもしれませんが、裏から見るとほら・・・・・、

真ん中にもう一つ、ファンみたいなものと何やら電気的な物が見えます。

これはオルタネーターなのです。

発電機です。

こんなところに潜んでいるのです・・・・・・。

まぁ、オルタネーター本体も発電すれば熱が発生しますし、

クーリングファンの中ですと空気の通りもよさそうですし、

換気扇にしてもプロペラやスクリュー等にしても、

大小あれど真ん中にデットスペースが生まれるものです。

そのスペースを上手く利用し、尚且つ同じ回転物なので

クランクプーリーからVベルトを張って、

一緒に回してしまえ的な発想と合理的な思考、

だけどベルトが一本だと万が一切れた時に、

イヤだからファンとオルタのベルトを、別けて2本にする保険的な考慮、

ここだけ見ましても如何にもドイツ的だと感心してしまいます。

話が少しそれてしまいましたが、この車両・・・・・・、

オルタネーターの発電量が弱くなってしまった為、

別なものと交換するので外していたようです。

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それにしても・・・・・・、

クーリングファンを外すと、本当にエンジンルームが淋しくなるものですね。

当り前なのですが、エンジンブロックが丸見えなのです。

オルタネーターの配線がチョロッとおりますが、

如何にも空気が通りやすそうな形をしております。

それにしても、エンジン本体は低い位置にあります。

これは、低重心に繋がります。

水平対向エンジンの利点がここで見る事が出来ます。
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この写真は、964の右側面の様子になります。

サイドアンダーカバーを取り外しております・・・・・。

そうしますと、何かホースなのかパイプなのかが見えるようになります。

右側のこれらはフロントに装着されております、

オイルクーラーへエンジンオイルを運ぶ為の物になります。

964はエンジンが後ろにあります。

そしてかなりの量のエンジンオイルを使用し循環させエンジンを冷却します。

そうすると、エンジンを冷却すればするほどエンジンオイルは熱を持ちます。

熱を持ったエンジンオイルを冷やす役割を持つのがオイルクーラーです。

しかし、リアにエンジンがある為、

エンジン回りにオイルクーラーを配置しても、

なかなか良い冷却効果が得られないのか、それとも当然の結果なのか

964は、フロントバンパー内にオイルクーラーが配置されております。

そのため右側面に、エンジンオイルホースが張り巡らされております。

これは、人間で言う大動脈です。ここに何か異常をきたしたら

それはもう・・・・・、恐ろしい話になります。

そして、写真の真ん中あたりに何かコブみたいのが見えると思います。






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そのコブらしきものを拡大して写真を撮ってみました。

これは、何なのでしょうか?

オイルホースが、ここに集まっているようです。

これは、オイルサーモスタットです。

サーモスタットとは、いわゆる弁です。閉じたり開いたりします。

空冷ポルシェは、兎に角エンジンオイルの量が多いのです。

エンジンオイルがまだ熱くなってない時に、

オイルクーラーでオイルを冷やしても仕方がありません。

そんな時は、サーモスタットを閉じオイルをフロントオイルクーラーに

行かない様にします。

そして、エンジンオイルが熱くなってきたら今度は

サーモスタットを開きオイルクーラーへエンジンオイルを循環させます。

これが本来の働きになります。このようにサーモスタットが正しく動くと

どのような走り方をしても、全く問題ございません。

サーモスタットは油温によって弁を開け閉めするシンプルな構造です。

しかし、たまに正常な動きをしないサーモスタットがあります。

固着等をして開け閉めが出来なくなってしまう場合です。

閉ったままですと、油温が上がりやすくなり最悪の場合、

エンジンがオーバーヒートしてしまいます。

只、これは症状が分かりやすいのですぐ気付く事が出来ると思います。

これが開いたままになっている場合ですと、意外に気付かないものです。

何故なら、オーバーヒートと言ったような症状が出ないからです。

しかし、エンジンは温まりにくくなります。

真冬なんかは本当に油温が上がりません。

エンジンと言うのは、最高の性能を発揮するには

適正な温度、油温があります。熱くなりすぎるのは良くないです。

しかし温度が低すぎるのも良くないのです。

なんか、自分の車でなかなか油温が上がらないという方、

一度点検で見てみるのをお勧めします。
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最後の写真は、フロントにあるオイルクーラーになります。

こんな風に付いております。

進行方向に対して、横向きに付いております・・・・・・・。

これではスムーズに風が当たらないような気がしますが、

こうなっております・・・・・・・。

仕方がないのです・・・・・・。

只、ちゃんと電動ファンが付いております。

オイルクーラーでオイルを正しく冷やせるかどうかは、

このファンにかかっております。

只、このファンも時々回らないのとか、回りっぱなしのとかを見かけます。

回らなければ、エンジンが熱くなってしまいますし・・・・・、

回りっぱなしだと、バッテリーが上がってしまいますし・・・・・。

見えないところで頑張ってもらっているので、

何か気になる点がありましたら、点検をお勧め致します。

何にしても、定期的な点検は重要です。

調子が良い時だからこそ、予防的な意味で点検を行うのも有意義だと思います。

お車の事で、何か気になる点がございましたら

お気軽にご相談ください。

それでは。。。